ザ・ピープル いわき震災通信

いわき市における東日本大震災後の状況を継続発信いたします。
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5月16日号

新緑がキラキラと輝く季節になりました。


いわき市の花、アザレアが色とりどりの花をつけています。


「いわきオーガニックコットンプロジェクト」で4月末に遠野町為朝集落で行なったポット播きのコットンの種たちは、元気に芽を出しました。


昨日は、いわき市植田町の福島県立磐城農業高校を訪ねてきました。


これからプランターでの綿花栽培を始める久之浜地区内の小中学校に対して、栽培指導を行なって頂けないかとのお願いをする為です。


農業高校の生徒の皆さんに直接指導して頂けたら、児童生徒の皆さんが栽培に関心を持つ度合いもずっと高まるだろうと考えてのことです。


初めてお会いする先生にこちらの思いが上手く伝えられるか不安に思いながら、小高い丘の上にある高校までの急な坂道を登りました。


何年か前に訪れたことのある学校です。


校舎の正面に廻って、初めて立ち入り禁止のロープと張り紙に気付きました。


そういえば、この高校も地震被害があったのだということを思い出しました。


ちょうど下校時間で、「こんにちは」と元気に声を掛けながら通り過ぎる生徒たちの一人に、職員室の場所を尋ねました。


プレハブの校舎が奥に建てられていると言います。


折悪しく降り出した小雨の中、プレハブ目指して歩き出すと、傍らに屋根ごと崩れ落ち、立ち入り禁止のテープの貼られた木造の建物がありました。


殆ど手を入れることも出来ずにあるのでしょう。


天井から垂れ下がった角材も外れた壁もそのままに雨に濡れている姿は、震災直後の映像のビデオテープを強制的に巻き戻しさせられているような気持ちを抱かせました。


後で伺った説明では、県内の高校で200億円といわれる被災額のうち、30億円がこの磐城農業高校分なのだそうです。


丘を削り埋めて建てられた高校の敷地の一部は、昨年4月の直下地震の為2mもズレてしまっているとのことでした。


震災から、1年以上を経過して尚、被災当時のままの崩れた建物をこのような場所で目にするとは全く想定していませんでした。


いわきの明日を創生する為の大きな原動力なるに違いない高校生の学び舎に、そうした一角が今も残っていることに釈然としないものを感じました。


大きな港を整備することも、道路を修復することも大事なことです。


しかし、「心」を修復することを置き去りにしていわきは前に進めないと思うのです。


それが若者の「心」であればあるほど…。

 

対応して下さった先生は、熱心に私たちの説明に耳を傾けてくださいました。


ご自身の栽培体験から、いわきでの綿花栽培が簡単ではないことをご指摘くださいました。


それでも私たちがこのプロジェクトを進めたい理由に、頷いてくださいました。


スタートしてしまった今年度の学校スケジュールに盛り込み、生徒の皆さんが関わることには困難があると言いながらも、校内での検討を約束してくださいました。


いわきの農業の将来を熱く語る先生の言葉に、エネルギーを頂くひと時でした。


人が人を育て、地域の復興を成し遂げていくのだと改めて思い知らされたひと時でした。

 

「心」が何にも代えがたいと感じたひと時でした。

 

吉田恵美子

特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長

- | 12:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |
4月29日号
今朝、目覚めると気持ちの良い青空、初夏を予感させる青空が広がっています。

街路樹のハナミズキには薄紅色の花が咲き揃いました。

今日は、「いわきオーガニックコットンプロジェクト」として初めての農作業があります。


その為にと、昨日のうちに首都圏からのボランティアバス、「天ぷらバス」(天ぷら油から再生されたBDFで走るバス)が25名の参加者を乗せてやって来てくれています。


作業場所はいわき市遠野町為朝(ためとも)集落。

源為朝に由来する名前を持つその集落は、わずか13戸。

そのほとんどが折笠姓を名乗ります。

いわき市の中山間地に位置し、昨年の3月11日の大震災では大きな被害がなかったものの、その後に起きた4月11日の直下型地震により断層が大きく動き、集落の簡易水道に流れ込む水脈が枯渇してしまいました。


そのため、水道の通っている地域からタンクで水を運ぶという作業を今なお続けています。


この集落を支える若い働き手の折笠明憲君たちが私たちのコットンプロジェクトに参画し、2反ほどの農地での栽培を計画しているのです。


地蒔きにはまだ少し早い今日は、ポット蒔きと栽培予定地での準備を皆で行なう予定になっています。

沢山の人の手で蒔かれた種が、この集落で希望の芽を出してくれる日はそう遠くないと感じられる、そんな朝です。


これに先立って、4月24日には、『はじめの1歩!コットン栽培地発表と栽培手順説明会』という集まりを行いました。


これまで3回行ってきた学習会や栽培地の視察研修を通して作り上げた統一栽培手順を、皆で共有しようという説明会です。


この手順は、小諸エコヴィレッジの切本幸男さんの指導を頂きながら、市内で園芸関係の仕事をしている芦沢久美子さんが纏め上げてくださいました。


30名ほどの参加者は、芦沢さんの「オーガニックコットンなので虫が出ても農薬を使わず、こまめに取り除き木酢液を散布するなどして対応してください」といった言葉を、熱心にメモしていました。

(中にはどうしても自分たちの考えた手順での栽培を主張して譲らないグループもありましたが、そのこだわりも情熱の裏返しと、オーガニックであることさえ外れなければ、呑み込むことにしました。)


今年度栽培地の提供をいただいたのは市内10箇所ほど。


中山間地や市の北端に位置する大久町の農地などです。


中には久之浜町の小学校や中学校でのプランターでの栽培もあります。


そして、説明会に顔を見せた方々も、農家の方や双葉郡から避難して来られている方、被災地の復興のために活動している市内の若者グループ、首都圏からのボランティアグループの代表者などさまざまです。


これまで顔を合わせたこともない人々がこのプロジェクトでつながり、交流を生んでいく。


何にも代えがたいこのプロジェクトの目的がここにあると実感できる集まりでした。


「29日の農作業にはまた顔を合わせましょう」と約束して散会となりました。


オーガニックでの栽培は決して容易ではないといわれています。


しかし、いわきの農業を取り巻く環境の厳しさに比べたら、このチャレンジの前に立ちはだかる障害などたかが知れているという気がします。


そして、今日の青空はきっと上手くいくと予感させてくれています。


吉田恵美子

特定非営利活動法人 ザ・ピープル 理事長
- | 19:13 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |

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